金融資産の相続手続き
- 2019.07.30
- 事後各種手続
実際の相談事例から説明いたします。
Kさんからの相談
先月、母が亡くなりました。他に家族は父と妹がおり、私も含め家族4人で同居していました。お墓は前もって父と母が気に入った墓地を購入していたので、来月にはそこに納骨する予定です。同日には親族にも集まってもらい、法要も行うよう準備も進んでいます。自宅は父名義なのですが、主な預貯金は母親名義にしてあったので、この度の葬儀費用や納骨・法要の費用をその預貯金からいくつかの定期預金を解約して充てようと思っていました。そのため、先日銀行にいきその旨を話したところ、『相続手続きが必要です』と言われてしまいました。銀行から「相続手続きの手引き」という資料をもらったのですが、本当にこのような手続きが必要なのでしょうか?
Kさんのようなご相談はよく受けます。
基本的に、金融機関が相続がおこった(預金者が亡くなった)事実を把握すると、その亡くなった方の口座は凍結されてしまいます。
凍結されてしまうと、今まで母親の代わりにATMで預貯金をおろせていたとしても、それ以降はカードで引き出すことができなくなってしまうのです。
凍結されてしまったらどうすればよいのかというと、「相続手続き」をして預貯金をおろすことになります。
各金融機関や預貯金の状況により多少は違いがあるようですが、基本的には正式な相続手続きが必要になるのです。(Kさんの求められた手続きがこれです)
では、どのように手続きを進めていけばよいのでしょうか。
遺言書がある場合
まず、遺言書がある場合は遺言書に従って手続きを進めることになります。
例えば、公正証書遺言で遺言執行者も決められているのであれば、基本的にはその遺言執行者が公正証書遺言を持って金融機関で預貯金の解約・払戻等の相続手続きをすることになります。
遺言書が無い場合
では、遺言書が無い場合はどうするかというと、相続人であることを証明し(相続人調査)相続財産を調べ(相続財産調査)誰がどのように相続するか話し合い(遺産分割協議)、最終的に全ての相続人の合意を得て署名捺印(実印を押して)預貯金の解約・払戻等の相続手続きをすることになります。
明らかに遺言書があった方がご遺族の負担は軽減されるので、手続きの面からみても、遺言書の作成が相続にとって有効な準備だということがお分かりいただけると思います。
ちなみに、なぜ今回のKさんの母親の死亡を銀行が把握できたのかというと、Kさんが銀行窓口で「母親の葬儀費用や納骨費用をおろしたい」と申し出たからだと推測されます。
行政書士 中村直人
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