事業承継税制
- 2019.07.30
- 生前贈与
事業承継税制の概要
概要
平成30年度税制改正では、非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除について、一般措置に加え、特例措置が新たに創設された。この特例措置も、①受贈者又は相続人若しくは受遺者(以下「相続人等」という。)が、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(以下「円滑化法」という。)第12条第1項の規定に基づく都道府県知事の認定(以下「円滑化法認定」という。)を受けている非上場会社の株式又は出資(以下「株式等」という。)を贈与又は相続若しくは遺贈(以下「相続等」という。)により取得した場合に、②その株式等に係る贈与税又は相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、③受贈者又は相続人等の死亡などの一定の事由が生じたときは、その納税が猶予されている贈与税又は相続税の納付が免除されるという基本的な仕組みについては、一般措置と同様である。
事前の計画策定等
概要のとおり、特例措置も一般措置もその適用の前提として円滑化法認定を受ける必要があるが、特例措置に関し円滑化法認定を受けるに当たっては、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則(以下「円滑化省令」という。)第16条第1項に規定する特例承継計画(以下「特例承継計画」という。)を都道府県知事に提出しその確認(円滑化省令17①一。以下「特例承継計画の確認」という。)を受けていることがその要件とされている(円滑化省令6①十一等)。
なお、この特例承継計画については、平成30年4月1日から令和5年3月31日までに都道府県知事に提出し、その確認を受けなければならないこととされている(円滑化省令17②)。
適用期限
特例措置については、平成30年1月1日から令和9年12月31日までの贈与又は相続等による非上場株式等の取得が要件とされているが(措置法70の7の5①、70の7の6①)、一般措置にはこのような適用期限は設けられていない。なお、「贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予の特例措置」(措置法70の7の8)は、「贈与税の納税猶予の特例措置」(措置法70の7の5)の適用を受けている者に係る贈与者が死亡した場合に相続税の納税を猶予するものであるが、この場合の贈与者の死亡については、適用期限は設けられていない。
(注)既に特例措置又は一般措置の適用を受けている者が、その適用に係る会社と同一の会社の非上場株式等を贈与又は相続等により取得する場合には、経営承継期間等の末日までに贈与税又は相続税の申告書の提出期限が到来するものが対象となる。
(注)事業承継税制の改正のポイント
平成30年度改正前 | 平成30年度改正後 | |
①後継者人数 | 代表者1人のみ | 最大3人まで |
②猶予対象の株式 | 発行済み株式の3分の2が上限 | 取得した全ての株式 |
③猶予の割合 | 株式の相続税の80%、贈与税の100% | 株式の相続税、贈与税の100% |
④株式の取得 | 先代の代表者からのみ | 誰からでもOK |
⑤雇用確保要件 | 5年間は相続・贈与時の雇用の8割を維持しなければ猶予打ち切り | 8割維持ができなくても、猶予は継続 |
⑥後継者が廃業や売却をする際の納税額 | 承継時の納税猶予額 | 廃業時の評価額や売却額で納税額を計算し、承継時の株価で計算した納税額との差額を減免 |
個人事業者の事業承継税制の創設の概要(31年度税制改正大綱)
認定受贈者(18歳(令和4年3月31日までの贈与については、20歳)以上である者に限る。以下同じ)が、平成31年1月1日から令和10年12月31日までの間に限る。以下同じ。)が平成31年1月1日から令和10年12月31日までの間に、贈与により特定事業用資産を取得し、事業を継続していく場合には、担保の提供を条件に、その認定受贈者が納付すべき贈与税額のうち、贈与により取得した特定事業用資産の課税価格に対応する贈与税の納税を猶予する。
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